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NPO法人日本政策創造基盤 新歓特設ブログ

NPO法人日本政策創造基盤は、実践的な問題解決プログラムの提供を通じて、社会に対する当事者意識と高度な問題解決能力を併せ持った、次世代型のリーダーを育成・輩出します。詳しい情報はこちらへ → http://j-ssk.org/wp2/

知的好奇心をくすぐる挑戦

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今では社会人として製薬会社に勤め、今でもゼミに顔を出しフィードバックを下さる大月天道さん。3期生の大月さんに、団体の魅力や活動内容などについて詳しく伺いました。

 

 

 

「この団体に入ったきっかけ」

 

 

・宜しくお願いします。
 
大月:宜しくお願いします。
 
・大月さんは3期生で、3年生で、瀧本ゼミ(JaSSKの前身団体)に入られたと思うのですが、大月さんは1,2年生は何をしていたのですか?
 
大月:凄く恥ずかしいのですが、何もしておらず、迷走していました。中途半端、打ち込める事が何も見つけられなかったんです。
大学3年の春にたまたま自分の大学の交渉学の授業で会った同級生に、こういうゼミがあるんだけど、来る?と言われました。
その子はTFJ(Teach For Japan http://teachforjapan.org/)とかをしていて、ちょっと意識高いなぁと思い、少し苦手かなとも思ったのですが。
ゼミに行ってみると、僕の予想は見事裏切られました。
 
・どの辺りで予想を裏切られたと感じましたか?
 
大月:やっている事がかなり実践的だった事ですね。ちゃんと調べて、それに基づいて行動する、という所が徹底されていました。
当時のTゼミはイシュー毎に幾つかプロジェクトが走っていて、既存のプロジェクトのどこかに入ろう、身近でとっつきやすいのが良いかなと思い、消火器を選びました。
 
最初は、消火器って押し売り販売が来たりすることもあるし、防災訓練で使ったりすることもあるが、意味があるのかなぁ、という考えくらいしか持っていませんでした。
 
まず早速、消火器の有効性に関する文献リサーチを始めたんですが、まともな文献がないんです。でもどうやら、初期消火をやっている割合が少なくて、初期消火を行っていれば、火災の規模が小さくなる傾向があるという事が消防庁のデータでありました。日本で一番消火器について研究している人が理科大におり、メールを出してみました。
 
・なるほど、実際に専門の方に会って、実践の方法を一緒に探ったという事ですね。
 
大月:はい。その先生は防火に関する研究をずっとやっている先生なんですけど、予算のつきにくい分野であり、中々政策が変わらないという事を会った時に仰っていました。
しかし、その中でも、今から振り返るとやや熱すぎるメールにも、先生は大変喜んで下さりました。何度もお会いする中で、先生がしていらっしゃる研究とか、知識とか、現在の消火器の課題などを教えて頂きました。
 
・そういう中で、活動が面白くなってきたという感じですか?
 
大月:そうですね。後は実践の中で必要な知識がどんどん蓄えられるというのも面白かったですし、知見がないなら作らなければいけないという所も面白かったです。
実際に、政策を作るためにはエビデンスがないと世の中動かないという指摘も頂いたので、エビデンスを作るという所から、やろうと動き始めました。
火事には初期消火が重要だという事は分かっていましたが、消火器が初期消火に有効か、日本でも本当にそうなのか、という所を実証している人がいなかったんです。
そこで、理科大の先生にお願いして、消防庁で消火の政策を担当している部署にまずそういうデータがないか、ヒアリングに行きました。
その先生は第一人者だったので、向こうは偉い人がずらりと出てきて、僕も含めてチームのメンバーはちょっとびびっていました(笑)
 
 
 
 
「壁にぶち当たる」
 
 
・なるほど。本当に積極的に動かれていたんですね。そこで何かの政策を訴えたという事はなかったんですか?
 
大月:色々お話したりもしましたが、中々変わらないという事も分かりました。
結局、役所の人は外部からいきなり提案や相談に行って、真剣に相手にしてくれるという訳でもないし、実際に政策提案というのも、本当に変えるのはハードルが高くて、多くの学生はここまでやらないから挫折もないんだなという事も分かりました。
ここで終わってしまうと、自分が一番苦手だった意識高い(笑)で終わってしまうと思って、何とかしてやろうと思いました。
 
・そこで、論文執筆という方法で消火器の有効性を証明する事に挑戦しようと思ったわけですね?
 
大月:そうですね。しかし、実はこれが公開されているデータが中々なくて。かなりここで行き詰まりました。壁にぶち当たった感じです。
ただ、リサーチする中で、消火器の家への設置率のデータや初期消火における火事の事後報告に関する資料は公開されていたので、それらのデータは原票があるのではないかと推察しました。案の定、消防庁の統計を調べたらそういうデータは存在しているようでした。
そこで、当時、何をしたら良いのかゼミ生に相談した所、情報公開法という法律があって、きちんと手続きを踏めば、公開される資料なのではないかと助言を受けました。
そこで、自分達は役所に行って資料を準備して、開示請求を行いました。
一学生が役所に対して情報公開請求したという事でびっくりしたかもしれませんが、きちんと対応してもらえました。
しかも、資料自体は整理されていて、大量のデータだったのですが、これは宝の山だなぁと(笑)
 
・では、そのデータを解析して、結果を出したという事ですね?
 
大月:ここからも困難がありました。実はそのデータ、全部紙ベースだったんですよね(笑)
ただ、宝の山である事には変わりがないので、全部手でエクセルで入力してデータ化して、統計分析をしました。
結果、消火器の設置や利用によって、火事の規模や被害が小さくなるという事が分かりました。
これは日本で初めて、消火器の設置が火事の被害を減らす上で、有効であることが、統計的、科学的に証明された瞬間でした。
先生は凄く喜んで下さって、この件を学会で発表することになりました。
私もこの先生にちょっとした恩返しができてよかったかなと思っています。
 
【学会発表に関するプレスリリース】
 
 

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参考リンク:

www.meiji.ac.jp

 
・なるほど、それは凄いですね。大変面白いです。その後はどうなったのですか?
 
大月:本当はこの政策が実現する所まで行きたかったのですが、残念ながら、メンバーが全員就職してしまい、後輩をリクルートしておかなかった自分達のチームは解散となってしまいました。
でも、僕らは確かに、きちんと分析を行い、動けば、結果が出るという実感を持つことができました。あるメンバーは首都圏を出て、政策大学院に進む事を決意し、勉強しています。
自分は規制の重要性、と定量的な分析の重要性を実感し、製薬業界に就職しました。徹底的にリサーチして何かを売り込む、その中で正しくリサーチをする必要性、そして、決定する際のエビデンスの重要性という意味では全く同じゲームだなぁと思います。
 
・現在にも役立っているとの事、大変良かったです。大月さんから今から来る新しいゼミ生に向けて、メッセージがあれば、お願い致します。
 
大月:政策立案・分析というと、難しそうで、とっつきにくいという印象を持つと思いますが、実際にやってみるとハマります。消火器という、一見どうでも良さそうなテーマについてもここまで熱中できたのは、自分でもびっくりでした。
特にゼミでは、色んなネットワークの人達とバーチャルにチームを組みながら、徹底的にリサーチをして、実行するという所が面白かったです。
最終的に3年生だった自分は、卒業という形でチームを離れる事になってしまいましたが、このページを見ている方にはまだchanceがあるわけですから、是非ハマってみて下さい。
またこの団体を通じて学べる事という意味でも、自分も1,2年は何もしていなかったのが、3,4年の2年間でかなり学びになったと思います。実際に消火器だけでなくて、ゼミでの議論やそこで紹介される書籍、知識、人が全てが自分にとって、学びになりました。Tゼミを通じて得られたものは、自分の人生を通して、大きかったなぁと今でも思っています。
 
・大月さん、この度はありがうございました!
 
・JaSSKが現在活動している内容について更に知りたい方はこちらから!